あなたは「ソフトバンクグループの株価が不安定で、今後どうなるのか心配」と思ったことはありませんか?結論、ソフトバンクグループはAI投資を軸に大きな成長を狙っていますが、同時に大きなリスクも抱えています。この記事を読むことでソフトバンクグループの現状と今後の見通し、投資判断のポイントがわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.ソフトバンクグループの現状と最新業績

2024年度決算の全体像と純利益の推移
ソフトバンクグループの2024年4〜9月期連結決算は、純利益が1兆53億円の黒字となり、3年ぶりの上期最終黒字を達成しました。
前年同期比では2兆4,140億円のプラスという驚異的な数字で着地しています。
この大幅な改善は、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)での投資損益が黒字転換したことが大きく貢献しています。
しかし2024年10〜12月期には一転して3,691億円の最終赤字となり、7〜9月期の1兆1,796億円の黒字から急速に悪化しました。
ビジョン・ファンドが出資する韓国EC最大手のクーパンや中国配車アプリ最大手の滴滴出行の株価・評価額が低下したことが主因です。
また円安による為替差損として5,409億円を計上したことも重荷となっており、業績の変動が非常に激しい状況が続いています。
OpenAIへの大型投資と投資損益の動向
ソフトバンクグループは2024年9月以降、OpenAIへの累計投資額を拡大しており、2024年7〜9月期にはSVF2を通じて5億ドルを投資しました。
さらに2025年3月には最大400億ドル(約6兆円)の追加出資を発表し、実質的な出資額は最大300億ドル(約4.5兆円)になる見込みです。
累計出資額は322億ドルとなり、金額ベースでマイクロソフトを上回ってOpenAI最大の資金提供者になる見通しです。
OpenAIの2024年9月時点での企業価値は1,570億ドルと推定されており、非上場企業としては極めて高い評価を受けています。
ソフトバンクグループの後藤CFOは「OpenAIに対して最も強い期待を持っている」と述べており、AI戦略の中核としての位置づけが明確です。
投資損益の面では、2024年4〜9月期にソフトバンク・ビジョン・ファンドの累計投資損益が9四半期ぶりに黒字転換しました。
株式4分割の実施とその影響
ソフトバンクグループは2024年12月20日から株式4分割を実施し、個人投資家が参戦しやすくなる環境を整えました。
分割前の株価水準では1単元(100株)の購入に数百万円が必要でしたが、4分割により投資のハードルが大幅に下がりました。
しかし株式分割後も株価は軟調な値動きを示しており、修正後株価で前週末終値と比較して下落しています。
市場では分割前の19日現在で1,000万株台まで膨張した信用買い残が重荷となって上値が重い状況が続いています。
個人投資家の参戦が期待される一方で、需給悪化の懸念も同時に高まっているのが現状です。
また傘下の英半導体設計アーム・ホールディングスの株価下落も、ソフトバンクグループにとってネガティブ材料として捉えられています。
NAV倍率から見る現在の株価評価
ソフトバンクグループの重要指標であるNAV(純資産価値)は、過去最高水準の28兆円弱に達しました。
2024年3月末時点でアームが約47%、SVFが約29%を占めており、保有資産の構成が大きくAIシフトしています。
NAV倍率(株価時価総額÷NAV)で見ると、現在はほぼ適正水準にあり、割高ではないと判断されています。
アナリストの予想株価は平均22,108円で、現在の株価水準から見ると買い推奨の評価を受けています。
ただしNAV倍率は市場のAI関連株への期待度によって大きく変動するため、AIブームの持続性が株価を左右する重要な要素となります。
経営の安全性を示すLTV(調整後純有利子負債÷保有株式価値)は8.4%と史上最低レベルにあり、財務基盤は強固です。
2.AI投資戦略と成長の鍵となる事業展開

OpenAI投資の狙いと収益化の見通し
ソフトバンクグループがOpenAIへの巨額投資に踏み切った背景には、AGI(汎用人工知能)からASI(人工超知能)への進化を見据えた長期戦略があります。
孫正義会長は「今後10年以内に人工超知能の最大のプラットフォーム提供者になる」と宣言し、OpenAIを最重要パートナーと位置づけています。
OpenAIとの協業では、米国各地に巨大データセンターを建設する「スターゲート」計画が中核となっています。
この計画は今後4年間で5,000億ドル(約75兆円)をAIインフラに投資するもので、ソフトバンクグループとOpenAIがリードパートナーを務めます。
収益化の仕組みとしては、データセンターを確保することで将来的にAI利用料から収益を徴収できるというモデルを想定しています。
ただしOpenAIは現在、赤字を垂れ流している状況で、費用は売上の2倍に達すると言われており、黒字化の時期は不透明です。
ARM株とAI半導体分野の強化戦略
ARMはソフトバンクグループのAI戦略の中核企業であり、2023年9月のIPO以降、株価は公開価格比2.5倍に成長しました。
2024年3月末時点でARMの株価は約125ドル、時価総額は約22兆円に達し、ソフトバンクグループのNAVの約47%を占めています。
ARMの強みは、スマートフォン市場で圧倒的なシェアを持つ半導体設計技術にあり、世界中のデバイスで採用されています。
AI時代においては、エッジAI(端末側でのAI処理)に適した設計技術として注目されており、2027年までにパソコン市場でのシェアが25%に倍増すると推定されています。
ARMは2024年9月に「Lumex CSS Platform」を発表し、AI処理を最大5倍高速化できる新しいCPU設計を披露しました。
ただし競合するオープンソース規格のRISC-Vが勢力を伸ばしつつあり、ARMの成長にとってのリスクファクターとなる可能性があります。
ABBロボティクス事業買収の意義
ソフトバンクグループは2025年10月にABBロボティクス事業への出資を発表し、AIの次にロボット分野へ参入する戦略を明確にしました。
AIが「頭脳」であるのに対し、最終的に「物」を動かすロボット分野は、AIの登場によって変わる未来の予想図にぴったりとはまっています。
ロボット市場は今後急速に拡大すると予測されており、AI技術との融合によって社会変革の主要な流れとなる見方が強まっています。
ソフトバンクグループはArmで半導体設計、OpenAIでAIモデル、そしてABBロボティクスで実行部隊と、垂直統合型のエコシステムを構築しています。
この戦略により、AI時代に必要なインフラからアプリケーションまでを一貫して提供できる体制が整いつつあります。
孫正義会長が18年前に示した「インフラ」「ポータル」「コンテンツ」の三層構造という発想が、AI時代でも再現されています。
スターゲート計画とデータセンター投資
スターゲート計画は、ソフトバンクグループとOpenAI、オラクル、MGXが共同で推進する史上最大規模のAIインフラ投資です。
今後4年間で5,000億ドル(約75兆円)を投資し、米国内に複数の大規模データセンターを建設する計画で、2025年1月21日に正式発表されました。
この投資は、かつてソフトバンクがボーダフォンジャパンを買収し基地局というインフラを整備した成功体験に似ています。
データセンターはAIの計算能力を提供するインフラであり、将来的にAI利用料という形で収益を回収する仕組みを目指しています。
ソフトバンクグループは財務管理も担うとされており、資金調達のリードを取ってプロジェクトを成功させる役割を果たします。
ただし発表直後にイーロン・マスク氏から「彼らは実際はお金を持っていない」と指摘されるなど、資金調達の実現性に疑問も出ています。
Ampere ComputingやIntelへの戦略的投資
ソフトバンクグループは2025年3月にAmpere Computingを65億ドル(約9,730億円)で買収することを発表しました。
Ampere Computingは2017年創業の新興企業で、ARMベースのサーバー向け半導体設計を手掛け、約1,000人の熟練エンジニアを擁しています。
この買収により、ARMが前工程設計、Ampere Computingが後工程設計を担い、半導体分野を強化する狙いがあります。
買収の目的は「優秀なエンジニアの獲得」「豊富なテープアウトの確かな実績」「ARMの設計力補完」の三点です。
またインテルへの戦略的投資は、アメリカ政府との付き合いを円滑にする目的もあり、インテルの立て直しをサポートしています。
これらの投資により、ソフトバンクグループはAI半導体のエコシステム全体を掌握する戦略を着実に進めています。
3.ソフトバンクグループが直面するリスクと課題

AIバブル崩壊リスクとその影響度
AIが広く使われる時代が来るのは間違いないと見られていますが、問題は「いつ」実現するかという時間軸の不確実性です。
収益化までの期間が長引けば長引くほど、現時点での投資効率は悪化していき、株価への悪影響が懸念されます。
かつて2000年頃のインターネットバブルのように、実態が追いつくまで時間がかかり、一度バブルが弾ける可能性もゼロではありません。
AIバブルが弾ける場合、ソフトバンクグループも連動して大きく下落するリスクがあり、投資家は慎重な判断が求められます。
市場の評価が「AIは思ったほどうまくいかない」という方向に傾いた場合、株価は厳しくなるでしょう。
また金利上昇(インフレ率の上昇による)のような環境変化も、成長株であるソフトバンクグループにとっては苦しくなる要因となり得ます。
OpenAI赤字継続と黒字化の不透明性
OpenAIは現在、赤字を垂れ流している状況で、費用は売上の2倍に達すると言われており、いつ黒字化できるのかが大きな問題です。
OpenAIは今後5年間で1兆ドル以上を支出することを約束していますが、同社がまだ利益を生み出していないことを考えると、多くのアナリストがこの目標に疑問を呈しています。
2024年10月の報道によると、OpenAIの損失は拡大しており、収益化の道筋が見えにくい状況が続いています。
マイクロソフトはOpenAIとの関係見直しを進めており、OpenAIの巨額の投資負担をソフトバンクグループ側が負うリスクも高まっています。
またGoogleが主力AIモデルの新バージョン「Gemini 3」をリリースし、OpenAIの同等製品を上回るパフォーマンスを示すなど、競争が激化しています。
OpenAIが特定の重要業績評価指標を満たしていなくてもソフトバンクグループは投資を進めると述べており、投資判断の妥当性に疑問の声も上がっています。
信用買い残の膨張と需給悪化の懸念
ソフトバンクグループの株式は、分割前の2024年12月19日現在で1,000万株台まで膨張した信用買い残が重荷となっています。
信用買い残が多いということは、将来的に売り圧力となる可能性があり、株価の上値を重くする要因です。
株式4分割により個人投資家が参戦しやすくなった一方で、信用残が増えてどんどん需給が悪化するだけという指摘もあります。
市場では「株式分割しても売りオーバーが圧倒的に多い」という声があり、需給面での不安が払拭されていません。
個人投資家が新たに参戦して株価が上がるという期待よりも、短期的な投機対象として扱われるリスクが高まっています。
社債の金利水準から見ると相当リスクが高い銘柄と判定されており、CDS的には楽天よりはるかに高リスクとの評価も出ています。
金利上昇が成長株に与える影響
金利上昇は一般的に成長株にとってマイナス要因であり、ソフトバンクグループのような将来の成長に期待する銘柄は特に影響を受けやすい特性があります。
金利が上昇すると、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率が高くなり、株式の理論価値が下がる仕組みです。
ソフトバンクグループは多額の負債を抱えており、金利上昇は利払い負担の増加にも直結します。
2024年10〜12月期決算では、ドル建ての負債が現預金と貸付金を上回る中、円安による為替差損として5,409億円を計上しました。
今後も円安やドル高が進行すれば、為替差損がさらに膨らむリスクがあり、業績への悪影響が懸念されます。
インフレ率の上昇による金利上昇環境が続けば、ソフトバンクグループのような成長株にとっては厳しい局面が続く可能性が高いでしょう。
4.今後の見通しと投資判断のポイント

アナリストの目標株価と投資判断
証券アナリストによるソフトバンクグループの平均目標株価は22,108円となっており、現在の株価水準から見ると上昇余地があります。
投資判断は「買い」が主流であり、アナリストの多くはソフトバンクグループのAI戦略に期待を寄せています。
理論株価(PBR基準)と理論株価(PER基準)の両面から見ても、現在の株価は割安水準にあると評価されています。
ただしAI分野の遅延や、市場の評価が「AIは思ったほどうまくいかない」という方向に傾いた場合、株価は厳しくなる可能性があります。
機関投資家は「勢いを認めつつも、OpenAIの潜在的成長をそのまま過大評価することには慎重」というスタンスです。
個人投資家はソフトバンクグループをAIおよびOpenAI関連のハイリスク・高ボラティリティ銘柄とみなしています。
ポートフォリオ入れ替えの進捗状況
ソフトバンクグループは、T-Mobile株式やアリババ株式の売却を進めており、ポートフォリオの入れ替えを積極的に実行しています。
2024年4月にはエヌビディアの全保有株を売却してOpenAIへの400億ドル投資に充てたと発表し、市場に大きな衝撃を与えました。
ビジョン・ファンドは2021年末以降、クーパンやドアダッシュ、グラブ・ホールディングスなどの株式売却を進めました。
米上場株のポートフォリオは290億ドル(約4兆5,100億円)近く縮小し、AIや半導体への投資にシフトしている状況です。
保有資産の構成は、2020年3月末と比較してアームが47%まで成長し、SVFも29%まで大きく増加しています。
この変化はAIシフトそのものを実現するためであり、ソフトバンクグループの投資戦略が明確に表れています。
新30年ビジョンと長期成長戦略
孫正義会長は「ソフトバンクグループは何屋なのか?」という問いに対して、答えはぶれずに「情報革命屋である」と述べています。
ソフトウェア流通のインフラ構築から、出版事業、ブロードバンド、インターネット、そして現在のAIへと、必要とされる情報サービスを人々に使ってもらうため、その時代に応じた「情報」のインフラを整備し続けてきました。
新30年ビジョンでは、AGI(汎用人工知能)からASI(人工超知能)の実現を使命として掲げています。
18年前の決算発表会で示した「インフラ」「ポータル」「コンテンツ」の三層構造という発想は、AI時代でも同じだと説明しています。
ソフトバンクグループのAI戦略のビジョンは、Armを中心にGraphcoreとAmpereを擁することで、AIの計算能力を飛躍的に高めることです。
AIデータセンターで必要なコンピューティングパワーを供給し、その上でOpenAIが高度なAIモデルを構築し、各種アプリケーションとして実装されていく壮大なエコシステムを描いています。
個人投資家が注目すべき投資タイミング
ソフトバンクグループへの投資を検討する際は、AIブームの温度感やスターゲート計画の進捗を注視することが重要です。
NAV倍率で見ればほぼ適正水準(割高ではない)にあり、ブームが続く限り上昇の余地があると言えます。
ただし投資家としては、自身のリスク許容度に合わせて検討することが重要で、ハイリスク・ハイリターンの銘柄であることを理解する必要があります。
株式4分割により投資のハードルは下がりましたが、需給悪化のリスクも同時に高まっており、短期的な値動きは激しいと予想されます。
長期的な視点で見れば、AI革命が本格化すればソフトバンクグループは大きく成長する可能性がありますが、時間軸の不確実性がリスクです。
金利動向や為替動向、OpenAIの収益化進捗、競合他社の動向など、多角的な情報収集を継続することが賢明な投資判断につながります。
まとめ
- ソフトバンクグループの2024年4〜9月期は純利益1兆円超の黒字だが、10〜12月期は3,691億円の赤字に転落し、業績の変動が激しい
- OpenAIへの累計投資額は322億ドルに達し、マイクロソフトを上回る最大の資金提供者となる見通し
- NAVは過去最高の28兆円弱に達し、アームが47%、SVFが29%を占めてAIシフトが鮮明
- ARM、Ampere Computing、ABBロボティクスなどの買収により、AI半導体からロボットまで垂直統合型のエコシステムを構築
- スターゲート計画で今後4年間に5,000億ドル(約75兆円)をAIインフラに投資する史上最大規模のプロジェクトを推進
- OpenAIは現在赤字を垂れ流しており、黒字化の時期が不透明でリスクが高い
- AIバブル崩壊リスクや金利上昇、為替変動などの外部環境の変化に弱い
- 信用買い残の膨張により需給悪化の懸念があり、株価のボラティリティが高い
- アナリストの平均目標株価は22,108円で買い推奨だが、ハイリスク・ハイリターンの銘柄
- 投資判断はAIブームの持続性、OpenAIの収益化進捗、スターゲート計画の実現性を注視することが重要
ソフトバンクグループは大きな可能性とリスクの両面を持つ銘柄です。
AI革命が本格化すれば大きく成長する可能性がありますが、時間軸の不確実性や収益化の課題もあります。
あなた自身のリスク許容度を見極めながら、慎重に投資判断を行ってください。
