あなたは「一人暮らしの障害者だけど生活保護はいくらもらえるの?」と悩んだことはありませんか?結論、障害者の一人暮らしでは月額10万円〜15万円程度の生活保護費に、障害者加算として月額1万5千円〜2万6千円が上乗せされます。この記事を読むことで障害者の生活保護金額と申請方法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.一人暮らしの障害者が受け取れる生活保護の金額

生活保護の基本的な支給額の仕組み
生活保護費は「最低生活費」から「世帯収入」を差し引いた金額が支給されます。
最低生活費は主に生活扶助と住宅扶助で構成されており、生活扶助は食費や光熱費などの日常生活費、住宅扶助は家賃に相当する費用です。
一人暮らしの場合、生活扶助は年齢と居住地域によって決まり、18歳〜64歳であれば基本的に同額となります。
住宅扶助については地域により上限額が設定されており、東京23区では53,700円、大阪市では40,000円が上限となっています。
計算式は以下の通りです。
最低生活費 = 生活扶助 + 住宅扶助 + 各種加算
生活保護支給額 = 最低生活費 − 世帯収入
この仕組みにより、収入が少ない場合でも国が定める最低限度の生活が保障されるのです。
障害者加算でもらえる金額と条件
障害者の方が生活保護を受給する場合、障害者加算として追加の支給を受けることができます。
障害者加算の金額は障害の程度と居住地域によって決まり、以下のような区分となっています。
1級地(東京23区など)の場合:
- 障害等級1級・2級:月額26,310円
- 障害等級3級:月額17,530円
2級地の場合:
- 障害等級1級・2級:月額24,680円
- 障害等級3級:月額16,430円
3級地の場合:
- 障害等級1級・2級:月額22,200円
- 障害等級3級:月額14,780円
障害者加算の対象となる条件は以下の通りです。
• 身体障害者手帳1級または2級の方
• 精神障害者保健福祉手帳1級または2級の方(3級は対象外)
• 障害年金1級または2級を受給している方
• 特別児童扶養手当の対象となる障害のある方
重要なのは、障害者加算は自動的に支給されるものではなく、申請が必要だということです。
地域別の生活保護費シミュレーション(1級地・2級地・3級地)
実際の支給額を地域別にシミュレーションしてみましょう。
東京23区(1級地-1)で障害者手帳2級の30歳男性の場合:
- 生活扶助:76,420円
- 住宅扶助:53,700円
- 障害者加算:26,310円
- 合計:156,430円
大阪市(2級地-1)で同条件の場合:
- 生活扶助:72,050円
- 住宅扶助:40,000円
- 障害者加算:24,680円
- 合計:136,730円
地方都市(3級地-1)で同条件の場合:
- 生活扶助:65,830円
- 住宅扶助:35,000円
- 障害者加算:22,200円
- 合計:123,030円
このように居住地域によって支給額に大きな差があることがわかります。
障害者加算がない場合と比較すると、月額2万円〜2万6千円程度多く受給できるため、生活の質の向上に大きく寄与します。
障害年金との併用で変わる支給額
障害年金を受給している場合でも、生活保護との併用は可能です。
ただし、障害年金は収入として扱われるため、生活保護費から差し引かれます。
併用時の計算例(東京23区在住の障害年金2級受給者):
- 最低生活費(障害者加算込み):156,430円
- 障害年金(月額):65,000円
- 生活保護支給額:91,430円
- 実際の総収入:156,430円
重要なポイントは、障害年金を受給していても障害者加算は支給されるということです。
そのため、障害年金のみの場合よりも生活保護と併用した方が総収入は増えることになります。
また、生活保護受給中は医療費が無料になるため、実質的な生活費の負担軽減効果はさらに大きくなります。
2.生活保護を申請できる障害者の条件と要件

一人暮らしの障害者が満たすべき4つの申請条件
生活保護を受給するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
1. 資産の活用
預貯金、土地、家屋、自動車などの資産を生活費に充てることが前提となります。
ただし、障害者の場合は通院や通勤に必要な自動車の保有が認められる場合があります。
2. 能力の活用
働ける能力がある場合は、その能力に応じて働くことが求められます。
障害により就労が困難な場合は、医師の診断書や障害者手帳により証明する必要があります。
3. あらゆるものの活用
年金、各種手当、保険金など、他の制度で給付を受けられる場合は、まずそれらを活用します。
障害年金や特別障害給付金なども収入として計算されますが、併用は可能です。
4. 扶養義務者からの扶養
3親等以内の親族から援助を受けられる場合は、まずその援助を求めることになります。
ただし、親族が扶養を断った場合や、援助を受けても最低生活費に満たない場合は生活保護の対象となります。
これらの条件を満たし、なおかつ世帯収入が最低生活費を下回る場合に生活保護の受給が認められます。
障害者手帳の等級と生活保護の関係
障害者手帳を持っていることで、生活保護の申請が通りやすくなる場合があります。
申請が通りやすくなる理由:
• 障害により就労が困難であることが公的に証明される
• 見た目では分からない障害についても状況が明確になる
• 支援の必要性が認知されやすい
各手帳と障害者加算の関係:
身体障害者手帳:
- 1級・2級:障害者加算対象
- 3級:障害者加算対象
- 4級以下:障害者加算対象外
精神障害者保健福祉手帳:
- 1級・2級:障害者加算対象
- 3級:障害者加算対象外
療育手帳:
- 程度により判定される
重要なポイントは、障害者手帳があっても必ず生活保護を受けられるわけではないということです。
世帯の収入や資産状況などが総合的に審査され、最終的な受給可否が決定されます。
働いていても受給できる場合とは
障害者の場合、働いていても生活保護を受給できるケースがあります。
受給できる条件:
• 就労収入が最低生活費を下回っている
• 障害により長時間労働ができない
• 体調の波があり安定した収入が得られない
計算例(東京23区在住、月収5万円の場合):
- 最低生活費(障害者加算込み):156,430円
- 就労収入:50,000円
- 勤労控除:約15,000円(就労収入から控除)
- 生活保護支給額:121,430円
- 総収入:171,430円
勤労控除により、働くことで総収入を増やすことができる仕組みになっています。
就労時の注意点:
• 収入の申告は毎月必要
• 勤務先や収入の変更は速やかに報告
• ケースワーカーとの定期的な面談
就労支援制度の活用:
生活保護受給中でも、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所を利用することができます。
これらの制度を活用することで、障害特性に応じた働き方を見つけることが可能です。
資産や車の所有が認められる特例について
一般的に生活保護受給者は資産の保有が制限されますが、障害者の場合は特例が認められることがあります。
自動車保有が認められるケース:
• 障害者が通勤に使用する場合
• 障害者が通院に使用する場合
• 公共交通機関の利用が困難な地域に居住している場合
• 深夜勤務などで公共交通機関が利用できない場合
持ち家の保有が認められるケース:
• 住宅ローンが完済されている場合
• 売却しても生活に支障をきたさない程度の価値の場合
• 障害により住環境の変更が困難な場合
• 引越し費用より住み続ける方が安い場合
その他の資産について:
• 車椅子や補聴器などの日常生活用具
• 就労に必要な道具や機器
• 少額の預貯金(生活費の1〜2ヶ月分程度)
申請時のポイント:
資産保有の特例を受けるには、その必要性を具体的に説明し、関連する書類(診断書、職場からの証明書など)を提出することが重要です。
ケースワーカーとよく相談し、個別の事情を丁寧に説明することで、適切な判断を受けることができます。
3.障害者の生活保護申請から受給までの手続き方法

福祉事務所での申請手続きの流れ
生活保護の申請は、居住地域を管轄する福祉事務所で行います。
申請の流れ:
1. 事前相談
まず福祉事務所の生活保護担当窓口で相談を行います。
生活状況や収入、資産について聞き取りが行われ、生活保護制度の説明を受けます。
2. 申請書の提出
相談後、申請の意思が確認されれば申請書を記入・提出します。
申請書には氏名、住所、保護を受けようとする理由、資産・収入の状況などを記載します。
3. 必要書類の提出
申請と同時に、または後日、必要な書類を提出します。
4. 受理
申請が受理されると、正式に審査が開始されます。
申請時の注意点:
• 「相談」と「申請」は別物です。申請の意思をはっきりと伝えることが重要
• 申請は国民の権利であり、窓口で断られることはありません
• 必要書類が揃わなくても申請はできます
障害者の場合の特別な配慮:
• 意思疎通が困難な場合は、支援者の同行が可能
• 車椅子でのアクセスが困難な場合は、職員が対応
• 精神的な負担を考慮し、複数回に分けての手続きも可能
申請時に必要な書類と障害者加算の申請方法
基本的な必要書類:
• 申請書(福祉事務所で記入)
• 身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)
• 預貯金通帳(全ての口座)
• 収入に関する書類(給与明細、年金証書など)
• 住居に関する書類(賃貸借契約書など)
• 生命保険証書
• 資産に関する書類
障害者の場合の追加書類:
• 障害者手帳(身体・精神・療育)
• 障害年金証書
• 医師の診断書
• 特別児童扶養手当証書
• 福祉手当認定通知書
障害者加算の申請方法:
障害者加算は自動的には支給されません。
申請時に障害者加算の対象であることを申告し、以下の書類を提出する必要があります。
提出書類:
• 障害者手帳の写し
• 障害年金証書の写し
• 医師の診断書(等級が不明確な場合)
申請のタイミング:
生活保護申請と同時に行うのがベストですが、後からでも申請可能です。
ただし、申請した翌月から支給開始となるため、早めの申請が重要です。
等級判定のポイント:
身体障害者手帳と障害年金で等級が異なる場合は、有利な方で申請できます。
例:身体障害者手帳3級、障害年金2級の場合→障害年金2級で申請
ケースワーカーによる調査と審査期間
申請後、ケースワーカーによる詳細な調査が行われます。
調査内容:
1. 家庭訪問調査
生活状況を確認するため、自宅への訪問調査が行われます。
住環境、家財道具、生活の実態などが調査されます。
2. 資産調査
銀行口座、保険契約、不動産などの資産について調査されます。
3. 扶養照会
3親等以内の親族に扶養の可能性について照会されます。
ただし、DV被害者や長期間音信不通の場合は照会されない場合があります。
4. 就労能力調査
障害の程度や就労の可能性について調査されます。
主治医への照会や、場合によっては指定医での診察が行われることもあります。
審査期間:
申請から決定まで原則14日以内(特別な事情がある場合は30日以内)に結果が通知されます。
障害者の場合の配慮:
• 調査時間の調整(体調に配慮)
• 支援者の同席可能
• 調査内容の事前説明
結果通知:
受給が決定された場合は「保護開始決定通知書」が、却下された場合は「保護却下通知書」が送付されます。
生活保護費の支給開始と継続手続き
支給開始:
保護開始決定後、通常は翌月1日から支給が開始されます。
支給日は自治体により異なりますが、多くの場合は月初から月の中旬頃に指定口座に振り込まれます。
支給方法:
• 銀行口座への振込(原則)
• 現金手渡し(口座開設が困難な場合)
初回支給時の注意点:
• 日割り計算される場合がある
• 一時扶助(引越し費用など)が別途支給される場合がある
• 障害者加算は申請月の翌月から支給
継続手続き:
1. 月次報告
毎月、収入や生活状況の変化について報告する義務があります。
収入申告書の提出が必要です。
2. ケースワーカーとの面談
定期的(通常は年2〜4回)にケースワーカーとの面談があります。
生活状況の確認や、自立に向けた支援の相談が行われます。
3. 現況報告
年1回程度、詳細な現況報告書の提出が求められます。
4. 再認定調査
数年に1度、受給継続の必要性について詳細な調査が行われます。
報告が必要な変更事項:
• 収入の変化
• 住所の変更
• 家族構成の変化
• 入院・退院
• 就職・退職
• 障害の程度の変化
継続時の注意点:
報告義務を怠ったり、虚偽の報告をした場合は、保護の停止や返還命令の対象となる可能性があります。
4.一人暮らしの障害者が知っておくべき制度活用のポイント

住宅扶助の上限額と障害者向け特別基準
住宅扶助は家賃に充てられる費用で、地域と世帯人数により上限額が設定されています。
主要都市の住宅扶助上限額(単身世帯):
• 東京23区:53,700円
• 大阪市:40,000円
• 名古屋市:37,000円
• 福岡市:34,000円
• 札幌市:36,000円
障害者向け特別基準:
障害者の場合、一定の条件を満たすと住宅扶助の上限額が引き上げられる場合があります。
特別基準が適用される条件:
• 車椅子での生活に必要な広さが確保されている
• バリアフリー対応が必要
• 医療機関への通院の利便性
• 介護サービスの利用に適した立地
上限額の引き上げ例:
東京23区の場合、通常の53,700円から69,800円まで引き上げられるケースがあります。
申請方法:
特別基準の適用を受けるには、以下の書類が必要です。
• 医師の意見書(住環境の必要性について)
• 物件の図面や写真
• 障害の程度を示す書類
注意点:
• 事前にケースワーカーへの相談が必要
• すべての障害者に適用されるわけではない
• 個別の事情により判断される
引越し時のサポート:
住宅扶助の範囲内で適切な物件が見つからない場合、福祉事務所が物件探しを支援してくれる場合があります。
医療扶助で無料になる治療費とリハビリ費用
生活保護受給者は医療扶助により、医療費の自己負担が原則として無料になります。
無料になる医療費:
• 診察料
• 検査費用
• 薬代
• 入院費用
• 手術費用
• リハビリテーション費用
• 精神科での治療費
• 歯科治療費
受診時の手続き:
1. 医療券の発行
受診前に福祉事務所で「医療券」の発行を受けます。
緊急時を除き、事前の申請が必要です。
2. 指定医療機関での受診
生活保護法による指定を受けた医療機関で受診します。
3. 医療券の提示
受診時に医療券を医療機関に提示します。
障害者特有の医療費:
リハビリテーション:
• 理学療法
• 作業療法
• 言語聴覚療法
• 心理リハビリテーション
補装具・日常生活用具:
• 車椅子
• 補聴器
• 白杖
• 義肢・装具
これらも医療扶助の対象となる場合があります。
通院交通費:
医療機関への通院にかかる交通費も支給対象となります。
最も経済的な方法での通院が原則ですが、障害により特別な交通手段が必要な場合は配慮されます。
セカンドオピニオン:
必要に応じて、セカンドオピニオンの受診も認められます。
事前にケースワーカーに相談することが重要です。
自立に向けた就労支援制度との併用方法
生活保護受給中でも、自立に向けた就労支援制度を併用することができます。
利用できる就労支援制度:
1. 就労移行支援
一般企業での就職を目指す障害者向けの訓練・支援サービスです。
• 利用期間:原則2年間
• サービス内容:職業訓練、就職活動支援、職場定着支援
• 利用料:生活保護受給者は無料
2. 就労継続支援A型・B型
• A型:雇用契約を結んで働く
• B型:雇用契約を結ばずに作業を行う
• 工賃・賃金は生活保護費から一部控除後に収入認定
3. ハローワークの専門窓口
障害者専門の職業相談員による就職支援を受けられます。
併用時のメリット:
• 生活保護を受けながら安心して就労準備ができる
• 就労による収入は勤労控除により手取りが増える
• 段階的な自立が可能
勤労控除の仕組み:
就労による収入については、一定額が控除され、実質的に手取り収入が増えます。
例:月収3万円の場合
• 基礎控除:15,000円
• 実際の収入認定:15,000円
• 手取り増加分:15,000円
就労定着支援:
就職後も最大3年間、職場定着のための支援を受けることができます。
生活保護からの自立後も継続的な支援により、安定した生活を維持できます。
障害者グループホームと生活保護の関係
障害者グループホームでの生活と生活保護の関係について解説します。
グループホームでの生活保護受給:
障害者グループホームで生活していても、条件を満たせば生活保護を受給できます。
支給される扶助:
• 生活扶助(日常生活費)
• 住宅扶助(家賃・光熱費)
• 障害者加算
• 介護扶助(必要に応じて)
グループホームでの住宅扶助:
グループホームの利用料のうち、家賃相当分が住宅扶助として支給されます。
上限額は地域の住宅扶助基準額に準じます。
食費・光熱費の取り扱い:
• 食費:生活扶助から支払い
• 光熱費:住宅扶助から支払い
• 共益費:住宅扶助の範囲内
サービス利用料:
障害福祉サービスの利用者負担は、生活保護受給者は原則無料です。
一人暮らしとの比較:
グループホームのメリット:
• 24時間の支援体制
• 共同生活による安心感
• 生活スキルの向上
• 社会参加の機会
一人暮らしのメリット:
• プライバシーの確保
• 自由度の高い生活
• 自立性の向上
移行支援:
グループホームから一人暮らしへの移行を希望する場合、段階的な支援を受けることができます。
• 体験利用の実施
• 生活技能の習得支援
• 地域生活支援センターとの連携
注意点:
グループホームでの生活保護受給には、入所前にケースワーカーとの十分な相談が必要です。
また、グループホームの種類や運営方針により、受け入れ可否が異なる場合があります。
まとめ
生活保護を理解するための重要なポイントをまとめました。
• 一人暮らしの障害者は月額10万円〜15万円の基本支給額に、障害者加算として1万5千円〜2万6千円が上乗せされる
• 障害者加算は自動支給ではなく申請が必要で、申請月の翌月から支給開始となる
• 地域により支給額に大きな差があり、東京23区が最も高額で地方都市との差は月額3万円以上
• 障害年金との併用は可能で、障害者加算により総収入を増やすことができる
• 申請には4つの条件(資産・能力・制度・扶養の活用)をすべて満たす必要がある
• 障害者手帳があることで申請が通りやすくなり、就労困難な状況を証明できる
• 働いていても勤労控除により手取り収入を増やすことが可能
• 障害者は自動車保有や持ち家の特例が認められる場合がある
• 申請から決定まで原則14日以内で、福祉事務所での手続きが必要
• 医療費は医療扶助により無料となり、リハビリ費用も対象
• 就労支援制度との併用により段階的な自立を目指せる
• グループホームでも生活保護受給は可能で、様々な生活スタイルに対応
障害があっても安心して生活できる制度が整っています。まずは最寄りの福祉事務所に相談し、あなたに適した支援を受けることから始めてみてください。きっと希望の持てる生活への道筋が見えてくるはずです。
